単細胞生活

ミーハー様

会社に勤めていたころ。
結婚して1年くらいそれまでと同じ会社で、それまで以上に働いていました。

朝は何時まででもいいとは言え、9時くらいには出社します。
最先端のIT企業ですが、六本木ヒルズどころか、市内でもいちばんヘンピなところにありました。
会社の広い庭には、毎日のようにキツネや野鳥がやってきます。
野うさぎやキジやヘビが遊びにきたこともありました。キジってデカイよ!

お昼になっても、もちろん周りにはおしゃれなカフェも行列のできるラーメン屋もありません。
緑豊かな森を見つめながら、持参の弁当か業者の弁当を食べるのみです。
仕事の合間に、プロジェクトのメンバーや同期の女の子と、
缶コーヒー飲みながら他愛もない世間話をするのがいちばん幸せなとき。

連日連夜10時まで仕事をします。(男の人は夜中まで)
制服から私服に着替え、駐車場に停めてあるマイカーに乗り込み、帰途につきます。
周囲の建物(みんなIT企業)も消灯していて、ほぼまっ暗闇です。
だからって星なんか、あんまり見えません。
朝夕は渋滞する片側3車線の道路も、この時間になると1台も通ってないこともしばしば。
警察さえいないので、毎晩時速100キロ超で帰ります。
片道15キロを何分で走れるかを、毎日ひとりで記録挑戦します。

今と違ってスーパーは最高でも10時にはしまりました。
通勤路に24時間営業のスーパーができたのは3年くらい前のこと。
あのときここがあればな、っていつも思っちゃうトラウマになってる私。

2DKのアパートでの新婚生活でしたが、いつも夫が先に帰っていました。
意地もあったし、若かったのもあったせいか、10時半ころ帰宅してから晩御飯を作ります。
週に2、3回は外食してたけど、そうそう毎日じゃあねえ。
でもヘタだった。時間がかかった。
できあがると日付が変わっていることもしばしば。
その間、夫はテレビ見たり、風呂を掃除して入浴したりしてました。

食事が終わると即効で茶碗洗い。
決して次の日の朝までそのままにしていることはありません。
洗面所がないので、顔洗うのも、歯を磨くのも、台所でやるしかないんです。

それからフロに入り、髪ブローしたりしてたら、寝るのはいつも2時3時。
今なら慢性で疲れてた理由がよくわかります。
そりゃムリがあるよ、と。

そのころはとにかく、社会の一員として働いているハズなのに、
なんだかとっても世間から隔絶されているような気がしていました。
新聞やテレビを見ることもできないので、時事問題に疎い。
会社の人としか会わないので、世間が狭い。
しかもイナカすぎて、流行の服とか店とか全然知らない。
完全に取り残されているような気持ちになっていました。

能力的にはけっこうピッタリな仕事でした。
3年間、人間関係に悩むこともほとんどなく、自分の力が如何なく発揮できる!
机の上は汚いけれど、システム上でのあらゆる事象を網羅するという細かいツクリには、
隠されていたA型の神経質な性質を全部つぎ込んだと言っても過言ではありません。
(大げさだなあ・・・)

でも性格がむいてなかったみたいです。
このボンヤリしてノンビリして、ヘラヘラした性格。
でもその中に潜む、最大の悪【ミーハー様】が黙っちゃいなかった!





ミーハー様・・・それは・・・。

小さいころから歌謡曲が好き。
出窓(いや和室だから違うと思うけど)の上で、アグネスチャンや桜田淳子を熱唱する幼児。
ピンクレディーに心酔する小学校時代。
80年代のヒット曲をすべて知らないと気のすまない中高生時代。

少年・少女マンガを愛し、ジャイアンツ中心のプロ野球を愛し、ハリウッド映画を愛した青春時代。
週に3度は都心のデパートで流行のスタイルをチェックし(安いところで似た服を買う)、
B級グルメを巡り、オープンしたてのところには必ず出向き、ヒットした商品は必ず買う。
もちろんニュースは政治・経済からスポーツ・芸能・文化に至るまでチェック。
その辺のオジサンに時事ネタをふられてもサラリと返す。あるときは論破する。

浅く、広く。それがゆえに確固たる自分がある人からは軽蔑されることもしばしば。
でも、うすっぺらいけど、チリも積もればかなりの山になります。

少女マンガに関しては、TV東京「テレビチャンピオン」に出てもけっこういいところまでといけそうだし。
プロ野球も、12球団すべてのレギュラーの顔・ポジション・背番号まで知ってたし。
DCブランドの流行の傾向もつかんで、金持ちの友達に「これ流行るよ~。」って教えてやったし。
(でも自分では着ない。^^;)
歌謡曲から外国の音楽からかなり昔のロックまで、音楽は幅広く聴きました。
コンサートはありとあらゆる種類のものに行ったし。
クラシックだって好きだったし、「クイズ・ドレミファドン」に出ても優勝狙えるかも。


ところが社会に出て、ミーハーに付随する能力ほどいらないものはないと気づきました。
システムの構築っていう仕事は、最初こそ「新しいゲーム」を解くような感覚で楽しくさえあったけど、次第に飽きてくると、私の頭は別の欲求でいっぱいに。

「テレビが見たい!」
「新聞が読みたい!」
「新しいお店に行ってみたい!」
「おいしいランチが食べたい!」


体を壊して(ムリがたたった)会社を辞め、妊娠して出産するまでほぼ引きこもり。
誰にも会わない。友達もいない(みんな働いているから・・・)。
夫はだんだん忙しくなってきてなかなか帰ってこない。

でも何だか楽しかった。
毎日テレビ見ていろんなニュースが見れる。(後半はオウムばっかりでつまんなかった)
新聞をスミからスミまで読むことができる。
新しいゲーム買ってきて、心ゆくまで冒険できる。
マタニティやベビー用品を、じっくり選んで買うことができる。
ときたま一人で(お腹が大きいのに)、街中でランチしたり、お茶飲んだりもしてた。

企業が売れるかどうか悩みながら開発した商品を、よ~く検討して買ってあげる。
新商品を消費することで、日本の経済に貢献している気になってます。
仕事をしているときは、消費者の「流行」や「新しもの好き」や「使いやすさ」などを考慮してモノを作るということで、経済に貢献してきたつもりです。

ところが子どもが生まれ、また状況が一変。
今度は前よりも完全に社会から隔絶されました。
テレビなんかじっくり見るヒマは一時もなく、本も開くヒマがない。
あのムリがあると思われた社会人のときより、さらに何倍も仕事がキツイ。
気がついたら5,6年経っていた、そんな感じです。
ついこの前まで、自分の時間なんてほとんどありませんでした。

そして今。
ここ一カ月くらい、毎日家事している以外は、ネットして、テレビ見て、新聞読んで、
ときどき友達とランチして、ジム行って、
週に何度か買い物して、あとはひたすら読書したりパズルして過ごす毎日。
それはそれは幸せです。

いやでもね、またきっとすぐに忙しくなります。
PTAの仕事も週末から再開だし、夫の会社だって危ないし。
仕事をやるときはガッツリやりますよ!
でもね、このミーハー様が体の中にいる限り、私のスタンスは生涯変わらないんだろうな、って思います。
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by dayu2004 | 2005-11-01 23:42 | 日常
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