単細胞生活

2005年 06月 06日 ( 1 )

だゆうちゃんのおうち

だゆうちゃんは小さい頃から何度かお引越ししました。
だゆうちゃんの父は市の職員だったのにおうちの都合でのお引越しでした。

両親は結婚してすぐ札幌の隣町に平屋の家一軒を建てました。
台所と居間と和室が2つ。
当時の新興住宅地で隣も向かいも新婚さん。
だゆうちゃんが生まれてからも同じくらいの年の子がたくさんいて友達には困りませんでした。
まだ開発中のその地区は少し行くと原生林の残っているようなところで、
作りたての小奇麗な住宅街と自然とが共存する、子供がのびのびと遊べるいいところでした。

そのころおじいちゃんとおばあちゃんは札幌に住んでいたのですが、
年をとって寒いのも、雪かきするのもイヤになり、冬の間だけ東京にすむことになりました。
東京のおじちゃんのおうちを二世帯住宅に改築したためです。
そこで冬の間に家を空けると家が悪くなるという理由から、だゆうちゃん一家は札幌に引っ越すことになりました。
母はせっかくのマイホームを売ってしまうことが悔しくて涙が出たそうです。
しかも夏の間は同居だしね。^^;

新しいおうちは自衛隊の駐屯地のすぐ横にありました。
学区内のほとんどが自衛隊の宿舎でしたので、同級生の半数以上が自衛隊のおうちの子でした。
オリンピックをやった競技場も近くにあり、その跡が広い公園となっていて、緑の多い環境のよいところでした。

おじいちゃんのおうちは街中のほうにもう一軒あり、そこを新聞集配所に貸していました。
何の都合でそうなったのかはわかりませんが、突然そこに引っ越すことになりました。
最初見たとき、だゆうちゃんと妹たちはそこがオバケ屋敷にしか見えませんでした。
古くて大きな三角屋根のおうちです。
同じ敷地内に上下2軒分のアパートとほったて小屋みたいなワンルームの平屋があり、そこは人に貸していました。
そのちょうど真ん中に三角屋根のオバケ屋敷が建っていました。
ほったて小屋にはリヤカーでくず鉄を売り買いするおじさんが一人住んでいました。
アパートにもなんだか曰くつきの人ばかり住んでいました。

だゆうちゃんの住むおうちは玄関が重いガラス戸で、1階は8畳間が4部屋と6畳くらいの土間状の広い裏口がありました。
真ん中の居間に使う部屋は窓が東向きにしかなく、そこにアパートが建っていて日が入りません。
南側の8畳の和室二つはおじいちゃんとおばあちゃんの部屋になりました。
仏壇がおかれ、床の間に大切なものや日本刀などがあるので(おじいちゃんは警察の人でした)子供は入ってはいけません。
玄関脇の8畳が父と母の部屋になりました。
2階は子供たちがすべて好きに使ってよいことになりました。
というか天井まで180センチくらいしかないので大人の男の人は立って歩けません。
北海道なのに窓は木枠のもので、鍵もかからないし、きちんとしまりません。
2階というよりすべてが屋根裏部屋みたいでした。
両面がすべて押し入れになってますが三角形でろくにものが入りませんでした。

とにかくすっごく寒いおうちでした。
冬になると寝ている布団の息のあたるところが凍っていました。
ポータブルストーブの上においた蒸発皿の水が朝には氷になっていました。
北側にある玄関は真夏の暑い日でもヒンヤリしていて、
庭に住み着いたネコが勝手に玄関を開けて入り(スキマがあるから前足で開けられた^^;)涼んでいたりしていました。

お風呂は見たことがないくらい汚いシロモノでした。
風呂場自体が土間になっていて、その上においた完全木製のスノコが洗い場でした。
シャワーもないし、夏になるとそのスノコからキノコが生えてきたりします。
おじいちゃん達は使っていましたが、若い一家は銭湯通いの日々となりました。

隣のくず鉄屋のおじさんが出て行くと、今度は大学生のお姉ちゃんが入りました。
お姉ちゃんは「私、UFOを呼べるのよ。」と言って、夜になると庭で空に向かってお祈りをしていました。
隣のアパートには自称陶芸家のお姉さんが入りました。
何の相談もなく、裏庭に焼き釜を作ってしまいました。
サイロ状の小屋みたいなもので、煙突つきでかなり本格的でした。
お姉さんはときどき狂ったように一度に作品を割りました。
普段は優しいお姉さんでしたが、作品を焼いているときと割っているときは近寄らないように言いつけられました。

庭にはネコが何十匹もおり、通りがかった人が勝手ネコを触りに入ったりしていました。
毎日4姉妹の友達がそれぞれ何人ずつか遊びにきたりして、いつもとてもにぎやかでした。

改築や新築を重ね、今では同じ土地に今風のマンションを併設した、鉄筋の3階建ての家になりました。
庭もほとんどありません。野良猫が歩いていることもありません。
私が子連れで行かない限り子供の声など全くしない、かなり閑静な一角です。
私が「私のおうち」と頭に描くときは、決まってあのオバケ屋敷のような三角屋根のおうちが出てきます。
住環境がよかったかと聞かれれば最も悪いとしかいいようがないんですけど、
面白かったことだけは確かです。
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by dayu2004 | 2005-06-06 11:55 | むかしばなし