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単細胞生活

怖い話 パート1

昨夜本を読んでいて、突然思い出した怖い昔の話。
飼っていたネコの話です。(オバケ関係ではありません^^;)

実家はその昔「ねこ屋敷」といわれるほどネコがたくさんおりました。
飼っていた、というと語弊があるかも。野良猫にえさをやっていた、って感じです。
野良ちゃんがえさをやっているうちに我家の庭に住みついて、物置で子猫を生んで、それがまた住みついて子供を産んで・・・って繰り返しているうちに、多いときで15,6匹のネコがいたんですね。
我家には子供もたくさんいましたので、みんな名前をつけて可愛がっていました。
寒い日やケガしたときは家に入れたりもしましたが、どんなに雪が降ろうとも夜になると外に放り出していたものです。

もう5年はそうして庭にいる「カツ」という雌ネコが冬のある日、やっぱり外のダンボールで子猫を生みました。
一カ月はダンボールから外に出さず、人間には決して見せてくれませんが、そのうち毎朝子猫の首根っこをくわえて玄関で待っているようになりました。
5匹生まれたはずですが、その頃には2匹になっていて、毎朝くる子猫ちゃんたちを家族で可愛がっていました。



そんなある日、大学受験の前日に、私は一人で家で留守番をしておりました。
前日になってからじゃ遅いんですけど、それでも参考書に目を通さずにはいられませんでした。
ふと窓の外を見るとけっこう雪が降っています。
「そういえば、カツと子供はどうしたかな?」と思い、玄関まで行くとガラス戸越しにネコの姿が見えます。
前足で玄関の扉をカリカリ引っかいていました。
私は満面の笑みで戸を開けると、カツのくわえている子猫に手を出しました。
カツは毎日私の手に子猫を預けると、もう一匹を取りに戻ります。

ところがその日はカツは子猫を放してくれません。そのまま家に入ろうとします。
「何さ、もう一匹連れておいでよ。」
と子猫を無理やり引き離そうとその体をつかんだとき、あまりの冷たさにびっくりしました。
よ~く見ると、子猫は首がないではないですか。
「ひっ!」と小さく叫び手を引っ込めると、カツは私の横をすり抜け家の中に入っていきました。そして居間の座卓の下にもぐりこむと、ばりっばりっと音を食べて子猫を食べ始めたのです。
恐ろしくてかがんで見る勇気はありません。
一月もたてばネコもかなり大きいはず。かなり時間がかかりましたが、カツは残らずに食べてしまったようでした。
朝食(?)が終わると、カツは外に出たいと玄関まで走って行きました。
この瞬間、世界で一番恐ろしい存在に変わったカツに逆らうことなどできません。
私はカツを外に出すと、惨劇のあった居間に戻ることが耐えられず、「気分転換でもしよう」と外で雪かきを始めました。

玄関前はけっこう雪がつもっていました。
その上にはカツの小さい足跡だけが点々とついていました。
カツの痕跡を消したい衝動にかられて、私はそこの部分を重点的に雪はねしました。
玄関前の大部分を終えたとき、背後で「ふにゃーん」という化け猫カツの鳴き声が。
「カツ、今日はもう入れてやらないからねー。」
と振り向くと、カツは大きな口を空けてこちらを見ておりました。口の中には顔がもう一つ。
カツはさっきの子猫の首だけくわえてきたのです。

気を失いそうになりながら、私の手は自然と玄関ドアを開けていました。
こんな恐ろしい姿を通行人に見られるわけにはいきません。
カツは私と一緒に家に入ると、再びさっきの場所に行き、2回目のお食事をしているようでした。

もちろん勉強などはできっこありません。
貧血を起こしそうになりながら、どうしてももう一匹の存在が気になり始め、カツが食事をしている中、外に子猫を探しに行きました。
雪深い庭の片隅に石うすのでかいようなものが横になって置いてありました。
ほぼ雪で埋もれておりますが、カツが穴を掘って出入りしていたようで、覗いてみることができました。
中は意外と暖かく、そこには大きなダンボールがありました。
小さなスキマから何か白い物体が見えます。
これ以上恐ろしいこともないはずと、勇気を出して手を中に入れ、白い物体に触ってみました。
するとモゾモゾ動きだしたではないですか。
生きてたー!
私は子猫をかかえて家の中に入ると、自分の部屋に直行し、下の惨劇の音に聞き耳を立てながら、子猫を抱きしめ家族の誰かが帰ってくるのをひたすら待ちました。

春になり、私はその次の日に受けた大学にだけ合格し、そこに通うことになりました。
カツのことはキライになりましたが、子猫はりんちゃんという名前をつけられ、みんなに大事に育てられました。
by dayu2004 | 2005-03-09 08:57 | むかしばなし
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